人間も動物『ダーウィン事変』

書評

当記事はうめざわしゅん著『ダーウィン事変』の書評です。

人とほかの生物の違いってなんでしょう?

道具を使うこと。自分以外のものや環境を変化させること。

多くの種を育て、食べること。

本作品の主人公は、人とチンパンジーの子「ヒューマンジー」。

ビーガン、テロ、差別などをテーマに、今の人の立ち位置を見直させられます。

『ダーウィン事変』とは?

『ダーウィン事変』あらすじ

テロ組織「動物解放同盟(ALA)」が生物科学研究所を襲撃した際、妊娠しているメスのチンパンジーが保護された。
彼女から生まれたのは、半分ヒトで半分チンパンジーの「ヒューマンジー」チャーリーだった。
チャーリーは人間の両親のもとで15年育てられ、高校に入学することに。
そこでチャーリーは、頭脳明晰だが「陰キャ」と揶揄されるルーシーと出会う。

「テロ」「炎上」「差別」……ヒトが抱える問題に、「ヒト以外」のチャーリーが、ルーシーとともに向き合うヒューマン&ノン・ヒューマンドラマ。

『ダーウィン事変』

『ダーウィン事変』感想・レビュー

Point1.ビーガン

ビーガン(完全菜食主義者)について、周囲にいないのであまり真剣には考えたことはなかったです。

お肉や魚類など動物性食品を避け、野菜、きのこ類、果物、いも類、豆類などの植物性食品を中心に食べる。

また、動物実験された日用品を使わない、毛皮や革製品を身につけない、という方もいるそうです。

生物として生きている以上なにも搾取しないで活動はできない。

世は弱肉強食で、食物連鎖があります。

動物の命は多分平等で、まんべんなく食べた方がいいとは思います。人の身体や成長、自然界にとっても。

でも、人間は動物を飼育し、効率よく、安定して食べられるようになりました。

そして世にはひどい飼育環境がありますし、動物実験を行っていることも・・・。

お肉や魚類はおいしいです。でもほかの生命をどこまで害して、食べて、生きていいのでしょう。

知識不足、経験不足でここで結論を出すことはできません。でもいろんな選択肢があることを知って、より良い選択をできるようになりたいと思いました。

パーフェクトな生き方なんてどこにもないけど よりマシな選択ならいつもある そう思っているだけだよ

『ダーウィン事変』
Point2.人間の尊厳

ボクはこの世界に対して全然なんの責任も感じない だって勝手に放り込まれただけだから

『ダーウィン事変』

すべての生物は生まれることを望んだと言えるのか。ただ誕生しただけなのではないか。

生まれてしまったからは生きるだけ。この家に、この性別で、この能力を持ったから、その責を負うべき。

どうすべきかは周囲の環境によって強要されています。

責任は人間がつくったものです。

生まれてきたから、ただ生きる。

きっとすべての生物が行おうとすることです。

Point3.法律

舞台がアメリカだからか、洋画を見ているような気分になります。法律についても深く触れています。

日本より犯罪が多くて、暴力やテロがより身近だからか、法律の重みも違うような気がする・・・。

高校生でも子どもでも主義主張、権利をはっきり主張することができます。その権利を支えるのが法律です。

法が常に、みんなに、適応されればいいけど、現実は違って。当たり前の権利も主張し続けないと、当たり前じゃなくなる。

今の権利が常に約束されているものじゃないと思い知らされました。今は常に約束されるものじゃないんです。

現にある暴力や圧制を前にすれば 人間の権利すら常に守られるわけではない だからこそ法は権利の最初の盾であり最後の砦となるべきもなの

『ダーウィン事変』

『ダーウィン事変』の著者について

作品集『パンティストッキングのような空の下』が「このマンガがすごい!」2017(宝島社)のオトコ編第4位にランクインし、話題になる。

『ダーウィン事変』の感想・まとめ

今までで見たことない作品でした。いろんなテーマがあって、ずっと考えながら、頭を使って読む作品です。

慣れないことを考え続けるのは正直疲れます。でも、新しい見方ができたり、こういう可能性もあるのかもと思うのは面白い。多くのことを考えるきっかけになりました。

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