あなたにあった1冊 No.17

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側にいたい。でも世の善意が許さない。『流浪の月』

あらすじ

あなたと共にいることを、世界中の誰もが反対し、批判するはずだ。わたしを心配するからこそ、誰もがわたしの話に耳を傾けないだろう。それでも文、わたしはあなたのそばにいたい――。再会すべきではなかったかもしれない男女がもう一度出会ったとき、運命は周囲の人間を巻き込みながら疾走を始める。新しい人間関係への旅立ちを描き、実力派作家が遺憾なく本領を発揮した、息をのむ傑作小説。

おすすめポイント

●メインふたりの関係を
うまく表す言葉が見つからない!
男女は恋愛感情がないと
そばにいたいと思ってはいけないの?
人が誰かに向ける感情は一つではない。
だったら、その関係性も
一つの言葉でおさまるものでは
ないのかもしれないです。

●その心配の仕方は本当にあっている?
善意から来るはずの心配や
先行きを気にする人の目は
本当に「優しさ」なのでしょうか?
当人の言葉に耳を貸さずに
投げかける心配の声は
迷惑であるかもしれない
と思っておくべきです。

ふたりの関係は世にとっては、
誘拐した側とされた側です。

でも、本当に犯罪があったか、
その人の心身を傷つけることが
実在したのかは、
当人たちにしかわかりません。

状況証拠や思い込みだけで、
最悪の状況を想像する。
かわいそう、守ってあげなきゃと思う。
世間の目が働いているのは、
安全な生活につながるいいことのはず。

でも、誘拐された人間はなにか訴えた?
なにか外傷はあった?

ストックホルム症候群。
ミステリーや犯罪小説を読んでいたり、
テレビでもたまに聞く言葉で
知っている人も多いかもしれない。

被害者が加害者に対して
かばうような態度や主張をする症状。

なんとなく知っている。
でも、専門家ではない人間が
それを判断することはできないはずです。

にわか知識で、安易に決めつけて。
適当な発言をする。
憶測でものをいうべきではないなと
改めて思いました。

先行きが見えない展開で、
ふたりの先行きが、
どうしたら明るいものになるのか。
考えながら、ページをめくる手が
止まりませんでした!

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